←前頁↑目次→次頁
二十一丁裏
　にとは。却.かへつてといふ古語.こヾ也。深.み山はふかき山なり。下
　の句.くよりよめばよくきこゆ。人里.さとをはなれて。はるか
　にのぼりゝゝゝ。あまりふかく。山のおくに尋.たづね入れば。か
　へつて人里.ひとさとちかく成.なりけりと也。これは高野の山ふ
　かく。伽藍.からん御建立.こんりうありけるゆへ。数千.すせんの坊舎.ぼうしやも在
　家.ざいけも建.たちならふことを悟.さとり。密法.みつはふさかゆることをよみた
　まふ。又の心は佛法修行.しゆきやうの位.くらゐによせ給ふ。たとえば
　四重.ちうの秘釈は。初重.しよぢうより二重三重と。ふかく
←前頁↑目次→次頁