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「ママ、さっき何おばはんに怒られてましたんや。」
「ちょっとズボラして、他人の蝋燭で、線香に火つけようとしたんや。そしたら『もらい火したらあかんがな！』てパシッとやられた。」 「なるほどな。厄払いの寺で縁起の悪いことしたらいかんわけや。」 「縁起悪いて知らんかったもん。」 「それにしても、じっさま達がワイワイガヤガヤようけ来たはりまっせ。」 「薬師如来の巡拝やがな。」 「厄神愛染さんやら福神大黒天やら、これだけでもてんこ盛りなのに薬師如来もいたはるんか。」 「西国薬師如来霊場第二十番やがな。」 「よう見たら、そう書いたるわ。」 「ほんでもって、ここの愛染さんは、不動愛染合体の両頭愛染明王なんやで。」 「パパとママにぴったりやね。」 「何でやねんな。魔障を払い、災厄を除く、ありがたい合体なんや。」 「ますますパパとママにぴったりやがな。ありがたや、ありがたや。」 「ほんまにバチあたりな奴っちゃ。」 |