造幣局の北、大川に面して、三菱金属の大阪精錬所があった。下の地図は、1900(明治33)年頃のもの。上部に見えるのは省線城東線(現環状線)の桜宮停車場、その少し下流には源八渡の渡舟(現源八橋)が描かれている。ほぼ中央「川」の字の左、天満橋筋がカーブするあたりの川沿いにひろがるのが、精錬所の敷地だ。

　精錬所の跡地に、帝国ホテルとオフィスビルとマンションが並び建ち、大阪アメニティパークと名付けられた。名前からして京橋のOBPの二番煎じのような感じもするが、BよりAが先という対抗意識もあったのだろうか。

　さて、帝国ホテルとタワーの間の正面玄関には大きな回転ドアがある。何かべたべたと注意書きが貼ってある。よく見ると「自転車での進入禁止」などと書いてある。いくら何でも、天下の帝国ホテルに自転車で突入する奴などいないだろうと思いながら中にはいると、何と早速ママチャリに乗ったオバハンが、コンコースの真ん中を向こうから走って来るではないか。このオバハンは、出口で降りて、自転車を押しながら脇のドアから出て行ったが、なるほど、この分だと、乗ったまま回転ドアに突っ込む人もいるのだろう。大川右岸を走ってきて、源八橋や桜宮橋のところから天満橋筋に上がるのを面倒臭る人達が、ここをバイパスにしているらしい。

　コンコースを奥に進むと、対岸に桜宮のホテル街が見渡せる。向こうの方では、今度はあっちに泊まらせてよ、などとねだられて困っている御仁もいるのだろう。

　川に降りると、そこは一応「港」で「OAP港」という名前がついている。水上バス「アクアライナー」や、もうちょいゴージャスな外輪船もどき「ひまわり」がここから発着する。

　川に面した庭園には、赤レンガの一対の噴水のようなものがあり、プレートにいわく。

• アーバンアクアスケープ・時の語りべ
• この水景は、この場所が旧三菱金属株式会社大阪精錬所跡地であったことを示すためにデザインされました。
• 流れ落ちる水は、精錬過程の銅の様々な姿−炉から流れ出るとけた銅や圧延器の中を通っていく銅−に見立てたものです。
• レンガの壁は旧工場の建屋イメージを表現しています。
• 芝生広場にうるおいを提供しながら、時の流れを物語っています。
• 平成8年1月