この一角には、阪脇酒店やクリーニング店等が軒を並べていたように記憶している。数年前、阪脇酒店はコンビニに改装して「シビス」となった。コンビニとは言っても、深夜12時以降と日曜は閉店していたが、近辺に同種の店があまりなかったこともあって、当初は繁盛していた。

　ところが、駐車場を挟んだ東隣が、ファミリーマートとしてオープンし、24時間営業を始めた。学生層を中心に、ファミリーマートは快調な集客力を示し、その分、シビスは（酒類はともかくとして）客を奪われたような格好になった。

　シビス阪脇は、店前にあったアイスクリーム等の自販機を撤去し、その跡地に小さなプレハブを建てて、立呑処「酒和貴」をオープンした。店内は４〜５名が入れば満員となるような規模だったが、よく繁盛し、入りきれないサラリーマンやＯＬが、ビールケースに厚板を渡した店前の仮設テーブルで酒を酌み交わしていた。

　ファミリーマートが登場した年の晩秋、シビス阪脇は、ついに閉店した。同時に駅寄りの土地に「酒和貴」の新店舗が出現した。仮設店の評判がそこそこ良かったので、これは商売になると考えたのだろう。

　シビス阪脇の跡地はどうなるのかと思っていたら、何とローソンとなってオープンした。元の阪脇酒店の酒販免許を継承しているので、強力な「酒付きローソン」である。駐車場を挟んでのコンビニ戦争は、これからも果てしなく続いていくのだろう。その陰で、虹が丘にあった食料品店「ハイク」が、ひっそりと閉店した。

　コンビニ戦争第二幕は二年余り続き、結局阪脇ローソンのリベンジ勝ちとなった。ファミリーマート跡地は、一時期イベント販売(というジャンル名があるのかどうかは知らないが)のダイドーが使用して、派手に景品チラシを配り、おばちゃんやおばあちゃんを集めて大騒ぎしていたが、この種の商売の常として、さっさと撤退してしまった。

　ファミリーマート跡地は、今や自転車屋になり、一応落ち着きを取り戻した。全国的にもコンビニ出店ラッシュの収まった今、再びコンビニ戦争が勃発することは、当分ないように思われる。