部品の生存率が高い割に配線の傷みがひどいので、一度完全に分解して清掃した。その上で、

• 電源コード〜スイッチを復元。コンデンサはトランス上からシャーシ内に移した。
• ブロックケミコンの外箱を利用して、中身を現代部品に入れ替えた。
• ペーパーコンデンサの外皮を利用して、現代部品を包み、交換した。
• 低周波段間トランスの外枠と鉄芯を利用して、コイルを現代部品に交換した。
• 配線のほぼすべてを単線・黒被覆で新調した。
• 空中ハンダ付を一掃し、一本で配線するようにした。それができない場所では、接合部を絶縁チューブで包んだ。

補修前	補修後

　当たり前の話だが、あまり変わり映えがしない。

　鳴らしてみる。非力な球構成なので、あまり立派な音は期待する方が無理というものだ。しかし、受信状態は、思ったより良好だ。並四にしては分離も良いような気さえする。もっとも、このラジオ、検波段周りの部品配置と配線が理想からは程遠いため、あちこちに浮遊容量があり干渉が発生していることは覚悟しなければならない。そのためか、再生ダイアルを回したときの動作が普通よりも複雑で、時には再生ダイアルが分離機のように働いているように錯覚する場合もある。ともあれ、二つのダイアルをがちゃがちゃ操作して、時には派手に発振音を出しながら、局を探していると、いかにも「並四」をいじっているという感じがして、妙に楽しかったりする。