1714年５月20日の聖霊降臨節第一祝日に演奏され、その後も何度か改訂された。教会に集まった会衆に、イエスの死後、いつの日にか神の国から降りてくると予言された聖霊について、使徒行伝やヨハネ福音書を引用した説教が行われる。その日が来るまで、信徒は、よい子で待っていなければならない。カンタータは、その説教の内容を敷衍するわけだが、第四曲のこのアリアは、地上に降臨する以前の天における聖霊、創世記の最初に出てくる「神の霊」そのもののイメージを歌う。

　クールなメヌエットが、水の上に漂っていた「神の霊」を、虚無の空間を吹く風のイメージで具象化しようとする。だから、このパラダイスには、ことごとしい荘重さもないかわりに、うまい酒やきれいなねーちゃんの姿はない。やはり天国は、凡夫の行くところではないようだ。

　ここに掲載したデータでは、テノールのパートをオクターヴ上げている。