ソプラノとアルト（同前）の二重唱を、通奏低音だけが伴奏する。このような場合には、低音のパターンに、歌詞と相応した意味を込めるのが、バッハのやり方だ。この曲では、急ぎ足でイエスのあとを追いかける信徒の思いを描写するような動きが、低音に与えられている。この低音は、子供がとことこと歩いているようにも聞こえるし、歌のパートも、その語りくちや、二声の模倣と並行の取り合わせが、可愛らしい。明らかにバッハは、この曲のテーマを「子供」で象徴させようとしている。

　ここに掲載したデータも、それに合わせて、オルガンの右手を手回しオルガンのイメージで補った。また、もう一つの通奏低音楽器であるヴィオローネのパートは、アーノンクール流に記譜通りの高さ（オクターヴ下げない）にしている。また、中間部の後半で、記号のないソプラノのEbをEに変更。