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十丁裏
　有.あり。その一つの名所.めいしよなり。御詞書.ことはかきに高野のおくの
　院.ゐんへ参.まいる道に。玉川といふ川の水上.みなかみに毒虫.どくむし
　の多.おほかりければ。此ながれを飲.のむまじきよしを
　しめしおきて後.のち。よみ侍.はべりけりとあり。腰.こしの五
　もしより上へあけて旅.たひ人のわすれても汲.くみやし
　つらんと心得.こヽろえへし。上古.むかしの哥の躰.ていなり。御哥の心は
　高野のおくの玉川はどく水なりと諸人.しよじんの聞傳.きヽつたへ
　たる事なれとも。もしや旅人のわすれても汲.くみや
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