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「ほれほれ、ママさん、ヒヨコ釣りしましょ。」
「釣ってどないすんねん。」 「子供に育てさせて、若鶏なったら唐揚にする。」 「こら、そんな殺生たくらむ前に、まずお参りせな。」 「はいはい、あ、ママさん、カニ釣りもありまっせ。」 「どないすんねん。」 「こっちは育てんでもすぐ唐揚に。」 「食うことしか考えつかんのかいな。」 「おっ、ママさん、愛染娘がいてまっせ。」 「また唐揚か。」 「無茶言うたらあかん。べっぴんなねーちゃんでっせ。」 「たいしたことないがな。ウチの方がはるかに上や。」 「へえ、そうでんな。ママの方が愛染さんによう似てガオーってな...」 「しょもないこと言うてるうちに本堂やで。」 「線香、線香、ローソク、ローソク...」 「きょろきょろせんと、ほれ、こっちや。」 「はいな、うわ、愛染さんご開帳や。ママによう似てガオー...」 「しばくで。このバチ当たりが。」 「まあ、そう怒らんと、次はウラのはなれ行くんでっしゃろ。」 「はなれやのうて、大日如来さんの塔や。」 「そらすんまへん。ありゃ、途中に大阪名物オバハンの展示会やってるお堂がありまっせ。」 「あほ。誰がそんなもん展示するんや。演芸の舞台やろ。」 「あ、なるほど。『愛染音頭』やて。オバＱ音頭とかケロヨン音頭の親戚でっか。」 「相手してると疲れるわ。ほなそろそろ愛染さんの饅頭でも買て帰ろか。」 「ちょっとママさん、その前にイカ焼きでも食て行きまひょうな。」 |