千里の水：二尾池

　もとは、南北刀根山村と柴原村の間の谷に長々と横たわり、かつ北刀根山村上方に深い支谷を伸ばして、その名に違わぬ二股の池だった。市史研究とよなか第二号所収「記憶のなかの桜井谷」（手塚恵子）によると、支谷は、中国自動車道開通以前の1966年にはまだあるが、開通後の1969年には全く失われている。支谷の失われた二尾池は、ただ南北に長いだけの池になってしまっていた。更に、1987年までには、その北半分も失われて豊中市民病院となり、近年、ついに最南端が病院前庭に残るだけになり果てた。1931年の「桜井谷郷土史」に

二尾フタオ池
同上池
柴原邑ニ属ス、下池ハ本村第一ノ大池ナリ。延享二年ノ明細帳ニ、二尾池長弐百弐拾間横五拾間、同上池長サ七拾間横四拾間ナリ、上池ハ別ニ皿池又ハ新池等ノ別名アリ。

とある。ここに言う「上池」は、今言うところの「乳母谷池」のこと。また、支谷については同書に、

（略）又、二尾下池ノ西ノ尾ノ在ル谷ハ、北刀根山邑ノ北ニ位セル北谷ト称セル地ニシテ、中ニ北谷ノ井戸アリ。