とりあえず購入した大型部品は、整流回路と検波段負荷のためにチョークコイル二個、出力段チョークコイルの代用として出力トランス、再生付高一コイル一組、スイッチ付500Kボリューム、UYソケット一個等。バリコンとダイアルの回転部はできる限り掃除し、とりあえず端から端まで回るようになった。ケミコンは、シャーシ上にあったアルミケースの中身（ボール紙で挟まれていた）を取り出し、代わりに同容量の現代の小型ケミコンを仕込んだ。

　四極管時代の国産高一ラジオを鳴らす時の最大のネックは、程度のよい 24B が品薄なことだ。幸運にも、手元に四本の UY-24B がある。いずれもマツダ刻印「放」マーク付の、同スタイルのものだが、詳細に見ると、微妙に造りが違う。左端の一本だけは、コントロールグリッドのリードが、ループになっている。また、両端の二本は、カソードスリーブの上端が、平らにつぶしてあるが、内側の二本は、開放された円筒のままだ。状態は、左の二本が、かなり良好、三番目はまあまあ、右端は明らかにエミッションが低下している。

　さて、24B が今後も確保できる保証は、残念ながらない。それに比べて、米国球の 24, 24A は、とても容易に調達できる。右の写真は、RCA 24A と、ARCTURUS 24 だが、この他にも、ごろごろ勝手に集まってきていると言ってもいいほどだ。言うまでもないが、問題はサイズで、単に挿すだけならいいが、国産ラジオに付いているシールドケースが使えない。

　とりあえず、そんなこんなで組み立てて見たが、今のところあまり良い出来ではない。感度・音質ともに、本当はもっと良いはずなのではないかと思う。高周波側の配線もまずいのかも知れないし、出力段のチョークやコンデンサ等も、調整・改善の余地がありそうだ。右の写真で、手前に転がっている怪しげなものは、仮拵えの高周波コイル用シールド。アクリル筒に銅箔を巻いて接地できるようにしたもの。これもあまりに不細工だ。新品同然に保存されていたM-48の写真を見たが、オリジナルのシールドは、大小三個の孔のある天井まで一体の太い円筒形で、アルミのような色をしている。直径は、想像した通りだが、高さは 24B のシールドよりわずかに低かったようだ。

　ともかく、現在の復元状態では、前記「ラジオの日本」で「現代の寵兒」と称されたこのラジオに申し訳ないような気がする。長期戦でぼちぼち改善策を考えよう。

• テレビアンＭ−四八Ｂ號
• この方は高周波一段増幅付で放送局より相當離れた所とか、感度の非常に不良な地方、又は附近に放送局はあるが、其の他の少し遠くにある局をキヤツチするとか、若くは、夜間全國の主要局を自由に分離受信したいと御希望になる方には最も適したセツトで、第三圖の様な曲線美を持つた、見るからに心を慰めて呉れる現代の寵兒である。
• 正面中央のエアープレン型テレビー一號ダイアルは上半をリニアー・スケールに下半をキロサイクル・スケールに目盛つてあるから、在來の調整法に順れた方は上半の目盛で、同調されるのも宜しいし、放送局の電波の周波數に依つて分離聽取せられることも容易である。
• 正面向つて左のツマミは電源切斷用スヰツチ付音量調節器で左へ廻し切れば電源は斷となり、右へ廻すと電源が接續され、右へ廻す程音量は大となる。中央のツマミは前述の同調用バリコンの調整用で、右の其れは再生用ミゼツト・バリコンである。使用球は高周波一段増幅をＵＹ二四Ｂ、檢波は感度の良いＵＹ二四Ｂの再生付グリツド檢波、低周波増幅には音質の優れた、チヨーク結合方式を用ひ眞空管はＵＹ四七Ｂを使用してある。
• スピーカーは、テレビアン三四號八吋マグネチツク・スピーカーを組込んであるから音量も音質も申し分ない。（同スピーカーの認定番號は第二一〇三一號、尚各部のデーターは第四圖を御參照下さい。）