シューブラー・コラール集の他の曲と同様、カンタータからオルガンへの編曲。原曲は、BWV6の復活節月曜日用カンタータ。ルカ福音書の中で、イエスの死後三日目、田舎道を歩いていた二人の弟子が、見知らぬ旅人に、もう暗くなるから一緒に泊まって行きなさいと勧めた言葉を題材にしている。彼らはその時、旅人がイエスだとは気付かずに言ったのだが、カンタータの中ではもちろん、それとは異なった意味を、この言葉に与えている。だから、カンタータの冒頭合唱はルカ福音書をそのまま引用するが、第三曲のこのコラール編曲では、キリストへの呼びかけの言葉に変えられる。

　音楽は、復活にふさわしい明るさがあるけれども、村の宿で三人だけで語り合った、このエピソードの持ち味を損なわないように、話しかけるような、親密感のあるオブリガートが流れる。原曲では、これをピッコロ・チェロが弾き、コラールをソプラノ（もちろんボーイ・ソプラノ）が二番まで歌う。しかし、オルガン版では、定旋律は一度だけ演奏され、曲全体が約半分の長さに短縮されている。

　ここに掲載したデータは、オルガン版準拠なので、定旋律一回分の長さとなっており、通奏低音に和声を付けていない。