御上人、数年間諸所山々岩窟に於て、難行をあらせられ、念仏の修行怠りなく、ある時、如来の御告げを蒙り給ひ、それよりはじめて山を御出ましあらせられ、衆生化益あそばされし。その時に詠ませられし歌なり。人々も、御念仏を尊み悦びて唱へる人は、必ず弥陀の光明にあづかるぞ、との御示しなり。

• ある時
  1855(安政２)年、あるいはその翌年のことと思われる（年表参照）。
• 如来の御つげ
  序文によれば、夢告。宗派の伝承では、融通念仏の祖、聖応大師良忍は、三昧中に阿弥陀如来から直接、融通念仏の教義を授けられたとする。
  
  　　　一人一切人
  　　　一切人一人
  　　　一行一切行
  　　　一切行一行
  　　　是名他力往生
  
  　　　十界一念
  　　　融通念仏
  　　　億百万遍
  　　　功徳円満
  
  同様に、中祖法明上人も、八幡の夢告によって、融通念仏再興の機縁を得たとされる。明意上人にとっても、この「霊夢」は、それまでの山林修行専念の活動から、大衆布教に目を向ける、重要な転換点となっている。