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高坂を巻くように通る春日新道の、ヘアピンカーブの西寄りの肩に、細い山道が顔を出している。これが、春日新道建設以前には、佐井寺方面から河田山を越え、高坂の谷を横切って、下新田の集落へと向かう、メインストリートだった。下新田から外に出るのには、そんな高低差の激しいところを通らずに、まっすぐ南へ、高川沿いに行けばよさそうなものだが、それでは郡境を越えて、豊島郡に出てしまう。同じ島下郡内の淀藩領諸村と一緒に年貢を積み出すためには、佐井寺側に出なくてはならないわけだ。さて、その重要な道も、新道ができてからは、すっかりさびれてしまった。さらにその後、新御堂筋が通り、周辺がマンション街となっていく中で、今や風前の灯火のように見える。しかし、この道の周辺には、わずかながらも竹林や果樹園が残り、少し前までは、溜池もいくつかあった。それらも、徐々に駐車場や宅地に変わりつつあるが、小さな蜜柑畑の奥に、かろうじて残っている溜池を認めることができる。 |