- 書名 ：千里村誌
- 発行年月：1932(昭和七)年六月頒布
- 編著者 ：山内平三郎
- 発行所 ：三島郡史蹟研究会
- 所蔵 ：
氏
| 世帯数 | 人口 | ||
2,011 | 8,812 | ||
| 佐井寺 | 224 | 1,065 | 旧佐井寺村の中核集落(古名佐井ヶ原)で現在の佐井寺一丁目〜三丁目に相当 |
| 千里山 | 464 | 2,123 | 旧佐井寺村に属し1931年大字佐井寺から大字千里山として独立した千里山西地区住宅街 |
| 原 | 70 | 371 | 旧片山村に属し現在の原町一丁目の西半分を中心とした集落 |
| 天道 | 30 | 136 | 旧片山村に属し現在の片山町四丁目の東半分を中心とした集落 |
| 山ノ谷 | 44 | 242 | 旧片山村に属し現在の上山手町中央部を中心とした集落 |
| 片山 | 755 | 2,981 | 旧片山村の中核集落で現在の片山町三丁目の東半分に相当 |
| 出口 | 71 | 313 | 旧片山村に属し現在の出口町南端を中心とした集落 |
| 鉄道官舎 | 353 | 1,581 | 現在の片山町二丁目ＪＲ吹田宿舎 |
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- 明治二十二年四月一日町村制の施行に際し、佐井寺、片山の両村は、地形民情共に合併するを便とするを以て、其の区域に依りて一村を設け、其の中央にある千里山の名を採りて千里(ちさと)村と名づけ、両村は其の大字となる。
- 明治二十九年四月一日三島郡に属す。
- 爾後吹田町の発展と京阪電鉄千里山線（元北大阪電鉄）の通ずるや向上進展も順調を辿りつヽありしが、今や急激に発展を遂げ多数の人口を擁するに至れり。
この記述からは、地蔵塚が「千里山」と呼ばれていたかのように読め、佐井寺村村誌の記述とも異なる。
- 本地は、もと山田荘の内にして佐井寺村と称す。
- 往時は佐井ヶ原と呼びしが、後佐井寺の名に因みて佐井寺村の名起れりといふ。佐井は、一に佐為又は才に作れり。
- 姓氏録左京神別に「佐為連、速日命六世孫伊香我色乎之後也」と見ゆる佐為氏は或は本地に因みあるものならんか。
- 千里山の間にありて四方高く、人家は過半数其の半腹に建てり。
- 天平年中、山田兵庫頭の領地たり。
- （中略）
- 同（享保）卯年五月、稲葉丹後守正知の領に移り、同氏世襲して美濃守正邦に至るや、明治二年六月、千百十八石三斗一升八合の領地を奉還せり。
- 依って淀藩の支配と移り、同四年七月十四日淀県に属し、同年十一月二十日大阪府の管轄となる。（中略）同（明治）十三年七月二日一村独立し（中略）同二十二年四月一日町村制施行に至れり。
佐井寺村については同村村誌参照。
- 本地は片山村と称す。
- 北部に千里山を負ひ、他の三面は平坦なるを以て、片山の称起れりといふ。
- 通称、原、天道、山ノ谷、出口、片山（鉄道官舎を含む）といふ部落に分る。
- （中略）
- 通称片山の山手は、文化的住宅地として、平地は商業地として頗る発展し猶且益々進展しつつあり。
- 就中鉄道官舎は、三百五十有余の世帯数にして別天地的一城廓を成す。
- 本地はもと山田荘の内なりしが、後佐井寺村と称し、又千里村大字佐井寺の区画中たりき。
- 大正十年中、大阪住宅経営株式会社の住宅経営開始せられ一面亦各種の施設之に随伴し、一大文化住宅街（十二万坪）を為し、千里山なる名称は遂に遠近に知らるヽに到りたるに依り、行政上通信上必要なるは勿論地方開発と時代の推移に應ずる措置と認められ、昭和六年三月十三日村会全会一致の決議を経て、大字佐井寺の約一半並に大字片山の一小部を割て、大字千里山を新設す。
- 同六年六月一日より之を実施し、同時に地番号の更正を行ひ以て居住者住所の表示上従来の煩を一掃したり。蓋し村政運用上稗益するところ尠からず。
- 校舎及び学区域の変遷
- 明治六年七月旧片山村（現今千里村の内大字片山）字芝田に第八大区五小区十五ヶ村（吹田村、片山村、佐井寺村、山田上村、山田中村、山田下村、山田小川村、山田別所村、上新田村、下新田村、小路村、南村、吉志部村、東村、七ッ尾村）聯合して片山小学校を設置す。
- （中略）
- 同（明治八）年同（三）月佐井寺村亦分離して一校を設置す。
- （中略）
- 爾後（明治十二年九月）片山村のみを以て片山小学校を維持するに至る。
- 明治十四年八月仝村字天道に転築落成し、移転式を行ふ。明治二十一年十一月二十一日より千里村の内佐井寺の簡易科教場と大字片山の簡易科教場と合併して、旧片山小学校舎を其侭として佐山尋常小学校と称す。
- （以下略）
- 現校名の改称
- 明治四十一年四月より義務教育六ヶ年に延長せられしため、校舎の狭隘を告ぐるに至り、明治四十二年四月千里村大字片山の内字原に校舎を新築し、旧校舎全部を移転併合せり。
- 大正十一年七月一日より佐山尋常小学校を改めて千里（ちさと）尋常小学校と称す。
- 分教場の設置
- 大正十二年十二月二十六日本村大字佐井寺（関西大学内）に分教場を置き、二学級を編成し教授することヽせり。
- 新築移転
- 昭和四年十二月大字片山字天道に壮大にして設備完全なる校舎を新築竣工す。
- （以下略）
- 大正十二年十二月二十六日、佐井寺（関西大学内）に千里尋常小学校の分教場として、二学級を編成し教授することヽせり。
- 後、千里山（千里山会館）に移りしが、同十五年四月現在の位置に校舎を設置し四学級となす。
- 昭和二年四月より佐井寺児童を収容し六学級とす。
- 昭和四年四月、分教場を廃し第二尋常小学校となし、九学級を編成せり。
- （以下略）
- 本村の南方四町、片山の境界の孤嶺にあり。
- 今、古松一本を存す（一本松とも云ふ）、此の松周囲一丈三尺余、絶頂より渓間に屈垂する雅松なり。
- 由緒
- 古時天平年中、佐井寺僧正行基草創の時、此処に来り給へば、光明赫然たりし地を穿ち見るに地蔵尊を得たり。
- 即ちここに舎堂を建営し安置す。
- 故に地蔵塚と称したりしが、其の後伊射奈岐神社境内に移せしも、明治維新より山田寺本堂に安置せり。
- 崎井山と号し、古義真言宗の無本寺たりしが、今は紀伊国高野派南院末となり、十一面観世音を本尊とし、脇士に毘沙門及び韋多天を安置せり。
- 人皇第四十五代聖武天皇の御宇、天平七年僧正行基の開基なり。
- 寺伝
- 初め行基当時の後山に瑞光の赫灼たるを見、天平七年二月十六日此の地に来り、地を穿ちて栴檀の香木十一面観世音（三尺四寸）を感得。此の旨を奏聞し、山田大臣を大檀主とし、坊舎六十余院を有せる巨刹を建立して、其の尊像を安置し、山田寺と名づく。
- （中略）
- 拾芥抄に見ゆる二十一寺の内にして、公家より恒例として読経を行はれ来りし名刹なりしが、星霜を経て応仁年中以来天正年中に至る頃屡〃兵火に罹りて伽藍坊舎悉く灰燼となる。（中略）正保四年に至りて寺僧薬順屡〃霊夢に感ぜしより、応験の著しきこと四方に伝はり、賽者一時踵を接するの盛況を呈し、漸く再興の工成りて時の領主板倉周防守重宗も亦崇教浅からず、梵鐘を寄付せり。
- 銘は京都東寺の長者亮春の撰なり。
- 境内は四百四十余坪を有し、本堂、庫裏、鐘楼堂、門及び護摩堂、不動堂を存し、池に五衰殿の塔あり、読経供養紀念の為に建てし三重の石塔なり。地蔵塚より伊射奈岐神社境内へ移せし地蔵尊は本堂に安置す。