1868年の時点で「去ル京都大火」と言うならば、1863（文久３）年の祇園大火、または翌1864（元治元）年の「蛤御門の変（禁門の変）」（概要は、ＮＴＴ山口支店「幕末・維新の郷土歴史と人」・会津若松市「会津戊辰戦争」等を参照）のいずれかで、おそらく後者だろう。幕末政治史上の「大事件」を、一般の大災害と区別することなく記述していること自体、政治的事件への大衆の視線という意味で、示唆的で興味を惹かれる。一方、これもさりげなく、前日（７月18日）に明意上人が下阪したと記されているのも、この日長州軍が京都市中に侵入し、朝廷警備の会津・桑名軍との間で軍事的緊張が高まったことによる避難行動と考えられる。この直前、明意上人が「夏行百日」の期間中で大日山に参籠していたのか、京都市中で行明けの説法を行っていたのかは、よくわからない。
大阪府八尾市東本町（近鉄八尾駅近く・旧木戸村）に、融通念仏宗大念仏寺末寺として現存。鎌倉時代から近世初期にかけての仏像・仏具を所蔵するが、1829（文政12）年に当時二十歳の楽山（ぎょうさん）上人が復興するまでは、廃寺同然の「荒れ寺」だった。楽山上人は、念仏の功徳による霊験で「八尾の上人」「生き地蔵様」と呼ばれ、その弟子でもあり後に住持となった明意上人も同様に「八尾の上人」と称されたから、この寺は、二代にわたる「八尾の上人様の寺」として近在に知られることとなった。（「中河内郡誌」「八尾市史」「八尾の史跡」改訂版.沢井浩三1973/3八尾市総務部公聴課他編）。
極楽往生の際の聖衆来迎は、阿弥陀如来と観音・勢至両菩薩の他、奏楽の諸菩薩が伴うことになっている。こうしたことから、信者の臨終にあたって、極楽往生の証拠として、来迎を示す光明や五色の雲の出現等と共に、音楽が聞こえるということが、しばしば持ち出される。
現代の語感とはやや異なり、ここでは「当座に」「即座に」というほどの意味。